openpyxlは、PythonでExcelファイル(.xlsx形式)を読み書き・編集・作成するための人気のサードパーティ製ライブラリ(パッケージ)で、セル操作、書式設定、画像挿入、グラフ作成など多様な機能を持ち、業務自動化に広く使われ、pipコマンドで簡単にインストールできます。
openpyxl(オープンパイエクセル)
2025年現在、openpyxl(オープンパイエクセル)は、PythonでExcelファイル(.xlsx / .xlsm)を読み書き・編集するための最も標準的なサードパーティライブラリです。
主な特徴と、できること・できないことを簡潔にまとめました。
1. 主な特徴
Excelの見た目を操作できる: セルの値だけでなく、フォント、色、罫線、セルの結合など、書式設定(デザイン)の操作が得意です。
VBAに近い感覚: 「ワークブックを開く → シートを選ぶ → セルを指定する」という手順で書くため、Excel VBAを経験したことがある人にとって直感的です。
既存ファイルの編集が得意: 新しくファイルを作るだけでなく、すでにあるExcelファイルを開いて、特定の部分だけ書き換えて上書き保存する作業に向いています。
2. できること
セルの読み書き: 文字列や数値だけでなく、数式(=SUM(A1:A10)など)を書き込むことも可能です。
装飾・レイアウト: 背景色の変更、グラフの挿入、画像の配置、シート名の変更や追加・削除ができます。
大量処理の自動化: 数百個のExcelファイルを順番に開き、特定のデータを抽出して集計するような「手作業ではやりたくない作業」を自動化できます。
3. できないこと(苦手なこと)
古いExcel形式(.xls): 2003年以前の古い形式には対応していません(.xlsx / .xlsmのみ)。
マクロの実行: Excelマクロ(VBA)が含まれるファイルを開くことはできますが、Pythonからマクロを実行することはできません。
計算結果の即時反映: セルに数式を書き込むことはできますが、その計算結果(値)をPython側で即座に知るには、一度Excelでファイルを開いて再計算・保存させる必要があります。
4. 2025年現在の使い分け
データ分析がメインなら「pandas」、「決まったフォーマットのExcel帳票を綺麗に作りたい」ならこの「openpyxl」を使う、という使い分けが一般的です。
まずは「既存のExcelからデータを読み取って、別のセルに書き込む」という簡単な作業から始めてみるのがおすすめです。
VBAとの違い
2025年現在、業務効率化の手段としてVBAかPython(openpyxl)かという選択肢は非常によく議論されます。両者の決定的な違いは、「Excelの中で動くか、外から動かすか」という点にあります。
主な違いを5つのポイントで比較しました。
1. 動作環境の違い
VBA(内蔵型): Excel自体に機能が組み込まれています。Excelさえあれば、追加ソフトなしですぐに開発・実行が可能です。作成したファイル(.xlsm)を他人に渡しても、相手のExcelですぐ動きます。
Python(外部型): Excelの「外」にある独立したプログラムです。実行にはPython本体やopenpyxlのインストールが必要です。
2. 処理スピードと得意分野
VBA: 「セルの色を1つずつ変える」「特定のボタンを押した時に反応させる」といった、Excelの画面操作や細かい制御が得意です。
Python: 大量のExcelファイルを一括で処理したり、Web上のデータを取得してExcelにまとめたり、AI(人工知能)で分析したりといった「外部との連携」や「大量データ処理」においてVBAより圧倒的に高速で強力です。
3. 他のアプリとの連携
VBA: Microsoft製品(Word, Outlook等)との連携は得意ですが、それ以外のWebアプリや最新ツールとの連携は苦手です。
Python: 世界中のあらゆるサービス(Slack, LINE, ChatGPT, Googleドライブ, データベース等)と連携するための「部品(ライブラリ)」が揃っています。
4. 実行のしやすさ
VBA: Excel画面上の「ボタン」をクリックして実行するのが標準的です。非エンジニアでも使いやすいのがメリットです。
Python: 基本的には今回のようにVS Codeやターミナルから実行します。
5. 文法と将来性
VBA: Excel専用の言語であり、Excel以外で使うことはほぼありません。
Python: 汎用性が高く、Web開発、AI、データサイエンスなど、学んだ知識をExcel以外のあらゆる分野に転用できます。
まとめ:どちらを選ぶべき?
目的 おすすめ
自分専用、またはExcelだけで完結する細かい作業 VBA
大量のファイルを一括処理したい・AIやWebと連携したい Python (openpyxl)
将来的にエンジニアリングやデータ分析のスキルを磨きたい Python
エクセルの新機能「Python in Excel」との違い
2025年現在、Excelを自動化する手段は「VBA」「openpyxl」「Python in Excel」の3つが主流です。それぞれの違いを整理します。
1. VBA と openpyxl の違い
最大の差は「Excelというソフトが必要かどうか」と「実行の仕組み」です。
比較項目 VBA openpyxl (Python)
実行環境 Excelソフト内で動く OS(Windows等)上で動く
ソフトの起動 Excelが起動して動作する Excelを起動せず、裏でファイルを書き換える
速度 大量処理はやや遅い ファイルを直接操作するため、大量処理が高速
得意なこと ボタン配置など「操作画面」の作成 大量ファイルの集計、Webや他ソフトとの連携
配布 ファイルを渡せば誰でも動く 相手にもPython環境が必要
VBA: 「Excelの画面上で、人間が行う操作を記録して再現する」イメージ。
openpyxl: 「Excelファイルを、ただのデータファイルとして解釈して中身を書き換える」イメージ。
2. Python in Excel と openpyxl の違い
「Python in Excel」は2024年に正式リリースされたMicrosoftの純正機能です。
比較項目 openpyxl Python in Excel
動作場所 自分のPC(ローカル) Microsoftのクラウド上
主な目的 外部からファイルを自動生成・編集する Excelシート内で高度な分析をする
ネット接続 不要(オフライン可) 必須(クラウドで計算するため)
ライブラリ 自由にインストール可能 決められたもののみ(pandas等)
保存方法 .xlsx ファイルを書き出す セル内にPythonコードが保存される
openpyxl: 「100個のExcelからデータを取り出し、1つの集計表を作る」といった、ファイルの外部からの操作に向いています。
Python in Excel: 「Excelに入っている複雑なデータを、シート内で機械学習やグラフ化して分析する」といった、Excelを強化する用途に向いています。
3. 使い分けの目安
VBAを使うべき時:
特定のExcelファイルに「実行ボタン」を付けて、他の人に配りたい時。
openpyxlを使うべき時:
大量のExcelファイルを一気に処理したい時。
Excel以外のデータ(Webのスクレイピング結果など)とExcelを組み合わせたい時。
Python in Excelを使うべき時:
Excelのデータに対して、最新のAIやデータ分析手法(pandasなど)を、ファイルを移動させずにその場で使いたい時。
まずは openpyxl をマスターすると、Excelの「枠」に縛られない自由な自動化ができるようになるため、汎用性が非常に高くおすすめです。



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